第8572回

売れない不動産も散見される

毎日流通不動産に接しながら、昨今は値段を下げても売れない不動産があるという現実を実感しています。世間にはまだまだ不動産神話が存在し、「最悪あそこを売ればたちまち〇〇万円程度にはなる」と高を括っている人がいらっしゃる。確かに所有者の期待する値の半値で売っても、〇〇万円は面積がそこそこあれば嵩高く積み上がる。しかし「いざ」と言うときは、今ではなくまだ先の話と落ち着いている。不動産は腐るモノではなく、旬はないと考えられがちである。

確かに『売物件』は、私の手元でも増えている。「自分の目の黒いうちに、自分名義の不動産を仕舞い(売却)して置きたい」と考える売主は、この数年富みに増えている。売却依頼を受けたわれわれ仲介(法的には媒介)業者は、くだんのITデジタルAIを駆使して、一日も早い成約を目指して営業努力をする。しかし、なかなか売れない。ここ一年間の足跡を辿ってみるが、簡単に売却出来たモノはない。

また土地であればそこに新しい建物が建築され、中古であればリフォーム工事が入っていることも多い。購入希望目的のために、不動産が使用収益されている姿を拝見するのは、仲介人の喜びであり、まさに「不動産は地球から借りている」という私の考え方を証明するもので、仕事冥利に尽きる。しかし、数は少ないが、買ったモノのすぐさま売却したいと言う買主・居住者も少数いる。

地場大手中小仲介業者で、仲介を断る業者も出始めた。売れやすい不動産は、一般的に『駅近』『道路づけ4~5M』『面積70坪前後』『南向き』『マイカー2台分』『買物至便』等があげられるが、売れない不動産はこれと真逆と考えれば、想像がつくと思います。仮にこれを100とすれば、これから遠ざかる不動産は90・80・70と値付け下がり、それなりの価格を形成してこれまでは成約に至っていた。

その構図がここへ来て、にわかに崩れている。極端に言えば、100に対して仮に30なら売れるかというと、50を切ったら見向きもされないと言うのが昨今の現状だ。特に道路づけが諸悪の根源で、前面道路が最低4M幅員ないと、中心市街地の中でも売却出来ない。これだけ火災事故が多発し、死亡傷害者情報を聞くと、戦後建築基準法が施行されたときの原点「せめて消防車が入らないと」いけないから4M幅員が決められた経緯から、これだけはどうしても必要だ。

同時に大災害に対しての、空地対策としては効果的だ。空き家を解体して、空地にすれば災害時にはおおいに貢献する。これまで使用収益を上げてきたから、このあたりで一端建物敷地としての役割をおろし、近辺の駐車場として使う。確かに解体費が多くかかり、収益が見込めないケースが多いと思われるが、公益性からは解体して次の用途を次の世代が考えることもありの時代になって来ました。

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