ウクライナ出身安青錦が初優勝
大相撲はさほど魅入らないのだが、場所中は、誰が勝って誰が負けたと気にするくらいの相撲フアンの私だが、安青錦の初優勝には驚きを隠せない。二人横綱が比較的順当に勝ち続け、10日を過ぎた頃から優勝は横綱のどちらかだと確信していた。それが漁夫の利のような結果になり、12勝3敗で東関脇安青錦(21)=本名ダニーロ・ヤブグシシン、ウクライナ出身、安治川部屋=が初優勝した。
この結果を受けて、大関昇進が審議されるが初土俵から所要14場所で大関に昇進すれば、年6場所制となった1958(昭和33)年以降初土俵(付け出しを除く)で最速。安治川部屋の環境をスピード出世の要因に挙げ、「師匠(安治川親方=元関脇安美錦)にいろいろ相談出来るのが一番」と感謝を口にする。それにしても逆境のウクライナ力士が、ここ一番で優勝するとはドラマだ。
ウクライナは2022(令和4)年2月24日、ロシアによる侵攻が始まった。大学卒業後の大相撲挑戦を考えていた安青錦(ダニーロ・ヤブグシシン、ウクライナ出身)だが、「日本へ行くなら今しかない」と18歳を前にドイツに出国し、日本人知人にサポートを頼み、約1ヶ月半後に来日して関西大学で世話になったらしい。この時サポートした、関西アマチュア相撲関係者もえらい。
関西のアマチュア相撲関係者と言うと、北村光雄高商大阪支部名誉支部長の葬儀を思い出す。故北村光雄先輩は確か同志社大OBだったと記憶しているが、葬儀には関西大学からも花輪が複数来ていた。大相撲の『たにまち』とも聞いています。関西は情と見る目が抜きんでているのか、北村光雄氏存命なら、今以上の応援が始まっていたかもしれない。
相撲部屋の独立準備を進めていた師匠の安治川親方(元関脇安美錦)は当初、外国出身者は受け入れない考えだったとか。しかし、初対面の時かたことの日本語で一生懸命に思いを伝えてきた。その純粋さ、まっすぐな目を信じたと翻意。22年12月の入門後、相撲の技術や日本語がめきめき上達した。ウクライナで柔道をやっていた少年は、足腰が日本人以上に強い。
日本人以上に日本人らしい取り組に、私も目を見張る。巨体を前屈姿勢で相手にぶつけて、すぐさままわしを取る。外国人関取が、巨漢を武器にあたって押し出す相撲スタイルとは違い、これは面白い。体幹がよほど強いのだと思いますが、小技で相手巨漢が膝を折る一瞬は、何が起きたか私には全く分からない。
この先大関・横綱と、安青錦(21)も安治川部屋も頑張ってもらいたい。若い相撲取りと、40歳まだまだ現役が土俵の上で繰り広げる死闘、安青錦が幼少の頃感じたように、勝負がつくのが早く、何だか面白そうだと、全国の相撲フアンが更に増えそうだ。