第3557回

AIJ投資顧問会社の年金消失問題で虚偽報告とは

金融資産運用設計の勉強をしていますが、それにつけてもよくもこんなに複雑に組み合わせて考えるものだと感心をしています。為替差額や金利差、はたまたカントリーリスクまで考慮して、いろいろなものを組み合わせて、デリバティブ(金融派生商品)取引を組み立てます。もちろん思惑通りことが進むと、楽して多額の利益が得られることになります。

AIJ投資顧問会社の年金消失問題で、1092億円の資金が流出(損をした)したと言うのを聞いて、ひどい会社があるものだと呆れていました。報道によると、浅川和彦社長は野村證券の出身で、社内にも厚労省などのOBを多く抱え、自らの所得も年額7千万円と聞いて、へぇーと驚いていました。

次に報道されたのが、「(ファンド(預り金総額)の時価報告を)何度も水増しするつもりはなかったが、損失を出した形で(顧客から預かった資金を)返したくなかった」から、虚偽の運用利回り報告で企業年金基金を勧誘していたという、浅川和彦社長の衆院財務金融委員会での意見陳述を掲載しています。

このあたりから、ひどい話しだけどここまでやったらこれは犯罪やでと思い始めていました。ところが過日、ある団体の職員の10人程度が揃ってAIJ投資顧問に年金積み立てをしていたと聞いて、「お気の毒」と思っていました。1%足らずの運用益が多い中、7%運用なんて「それはないよ」。

アメリカには、もう産業がないと言われて久しいのです。それは今、韓国企業に日本企業が奪い取られているように、過去には日本がアメリカから奪ったのかも知れません。それは日本のインチキでも何でも無くて、アメリカ大陸を走るアメリカ産のクルマは大型乗用車であったのですが、日本はその国土に合わせてコンパクトカーを作りだし、それをアメリカも買い始めたのがきっかけでした。

産業がないアメリカは、「金融テクノロジー(産業)」なるものを編み出しました。言われている「ウォール街の妖怪」ですが、「金融工学」という学問にまでなっています。何事についても極めるアメリカですが、まさに「金融」というまるで生き物を飼育するかのように成長するアメーバーを育むわけです。

この延長上に私は、「サブプライムローン」があり、このシステムの崩壊でアメリカはもとより、全世界に悪影響が広がったと考えていました。サブプライムローンは、アメリカの住宅ローンの一つの形態ですが、所得の低い所謂プライム(信用)の低い人(サブプライム)向けに貸し出されたローンです。

またこのローンを大きな塊として、それを小さく切った債権や株式にして販売していたわけです。金融テクノロジーはあくまでも机上論です。現場があるわけではありませんから、問題がなかなか表出しないのです。陋習(ろうしゅう)とまでは言いませんが、次々に効率を求めて投資環境を創り出していくわけです。

先のサブプライムローンにしても、値上がり(投資の前提に値下がりがありません)

した住宅を、概ね10年以内に売却すると大きな利益が得られると考え、10年後の支払額をこれまでの5倍や10倍に設定しています。払うようになるという前提がありません。ところがそれが値下がりして、売却損と制度破綻が生じたわけです。

アメリカ政府はそのローンの仕組みに政府保証を付けて、ムーディーズ等の格付け会社の格付けを挙げていました。だからアメリカ国内だけにとどまらず、サブプライムローン問題は、世界経済を揺るがす大問題にまで発展したのです。住宅産業は日本だけでなく、世界中の景気浮揚策なのです。

先の団体職員の企業年金でもよくよく聞くと、5336名が加入していてこちらの資金は12億円と聞きました。

私は「金融資産運用」が苦手で、この試験に恥ずかしながら12年落ちています。全く実感がないので、理解できないのです。「いいや6つの内この一つは封印」としていましたがしかしこれが合格しないと、「不動産運用設計」や「相続・事業承継」等の5つの分野においても否定をされることに気がつきました。それで否応なくやるしかないのです。

今回AIJ投資顧問会社の年金消失問題で、あらためて世界は繋がっていることを実感しました。対岸の火事ではないのですね。心して「想定外」と言わないで済むような人生にしたいものです。

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