松岡良幸不動産鑑定士の話は明快



(社)香川県宅地建物取引業協会高松南支部主催の、平成22年度研修会でした。講師は、同協会の法定講習講師をされている松岡良幸不動産鑑定士です。彼の話は明快で、ぶっきらぼうですが、聞く者を決して飽きさせません。これまた板書の字は下手ですが、カタカナで書いても意味は十分伝わります。話に引き込む講師は、聞く者には有り難い存在です。
「重要事項説明及び追加条項の解説」のタイトルでしたが、いきなり宮西信雄支部長との事前の打合せでリクエストされた「地耐力」についての話になりました。地耐力の不足が判明した場合の業者責任ですが、本題の説明の前に、担保債権の法的性質にことが及びました。結論から申し上げて、地耐力に関する説明責任は、不動産業者にはありません。
まず地耐力不足も、瑕疵(かし)担保責任に含まれるかどうかですが、隠れた瑕疵(よく言われる目に見えないキズ)を問題にしている民法の主旨は、すぐ気がつくような「瑕疵」は、それをすでに価格に反映している筈だから、問題がないという考え方です。これも分かりやすい。バチ物は、それなりに安い筈です。何かあるのです。
それから「物の瑕疵」か「権利の瑕疵」かも一考に値する説明でした。買った土地に、「都市計画法の事業地内制限」があったら、これは「物の瑕疵」にあたり、残念ながら泣き寝入りのケースが多いのです。これが「権利の瑕疵」であれば、競売でさえも「権利の瑕疵」に該当すれば、契約解除や代金の減額がなされるように、必ず救済がなされます。
また私道が、「私物」に該当し、例え地目が公衆用道路であったとしても、通行などの自由権に一定の制限を受けることが紹介されました。私道にはやはり制限があり、それが法律に定める要件に合致している「位置指定道路」であっても、隣接者は建築確認が自由に取れるからと言っても、所有権のように自由に使用収益処分出来るわけではないことを肝に銘じることです。
またわれわれの常識である「危険負担」についても、その根底にある考え方を学びました。中古住宅の売買契約をして、1ヶ月後に引き渡すことになっていたが、契約後2週間経ったところで隣からの火災で焼失してしまった。どうなるのでしょうか。
この場合民法は、買主に代金全額の支払いを定めています。住むつもりの家も手に入らず、契約代金を全額支払うとは、可哀想な買主ですね。民法はこれを「危険負担」と呼んで、債権者負担と決めています。債権者とは家を引き渡してもらえる権利(債権と呼びます)者、つまり買主のことです。民法は、契約成立即権利の移転と考えているのです。既に買主の物だから、お代を払いなさいと、民法は言っています。