第2336回

劇団暖団の「にごりえ」は樋口一葉の命日に上演

高松の素人劇団は知るだけでも幾つかあります。先の小西金太郎さんが主宰する劇団は高齢者が集まってという特徴がありました。この暖団は、女性が中心となった集団のようです。少なくても今回の「にごりえ」のテーマは、「女」でした。

登場人物は全て女。男役も女役も、女性が演じます。その役付けを、着ている着物で表現します。さらにその衣装は、観客の視線の先に置いています。役に併せて、吊してある衣装を着替えます。その着物を着る時に、少し膝を曲げて、実に女性らしい仕草をします。新しい「暗転」の方法かも知れません。

とある銘酒屋街に住む酌婦のお力。お力は男前の客の結城朝之助を愛したが、それ以前に馴染みの客土木作業員の源七がいた。源七は蒲団屋を営んでいたが、お力に入れ込んだことで没落し、今は妻子ともども長屋での苦しい生活をおくっている。しかし、それでもお力への未練を断ち切れずにいた。妻にそれを指摘されて、ふてくされている。

源七は仕事もままならなくなり、家計は妻の内職に頼るばかりになっていた。そんななか、子どもがお力から高価な菓子を貰ったことをきっかけに、それを嘆く妻と言い争いになり、ついに源七は妻子とも別れてしまう。そしてお力は源七の刃によって、無理とも合意とも知らない無理心中の片割れとなって死ぬ。

この「にごりえ」を演出の大垣里花さんは、『113年前に書かれたこの「にごりえ」は、私に鳥篭を連想させます。その鳥篭は「大きな力に閉じこめられて出られない姿」ではなく「自分をコントロールしようとして自分で作ったプライドとコンプレックスでてきた檻の中でもがいている姿」です。』と言っています。

そして舞台の中心に、籠を模した鉄製の球体遊具を据えています。その中に入ったり出たり、もちろん鉄の骨だけですから中身は丸見えですが、この大道具が籠でもあり、見事な舞台でもありました。女優さんは手足が痛かったかと思いますが、見る者には死角がなくて、優れた演出でした。さらに命日に上演とは、やることが粋ですね。

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