第1689回

いま、拠って立つべき”日本の精神”「武士道」by新渡戸稲造

新渡戸(にとべ)稲造(いなぞう)は文久2年(1862)、明治政府が誕生する6年前、現在の岩手県盛岡市で生まれました。

そしてこの「武士道」を、アメリカにいた明治32年(1899年)、彼が38歳の時に英語で出版しました。そのころ彼は病気治療のためにカルフォルニア州に滞在していました。日本を、外国から見つめ直す絶好の機会になったのでしょう。

そして世界的大ベストセラーになりました。なぜなら、新渡戸の記した「武士道」は、人間としてかく在るべきという道徳規範の本であり、たとえ国や民族が違っても、人が健全なる社会を築き、美しく生きようとするときの”人の倫(みち)”に変わりはなかったからです。

この本を読んだルーズベルト大統領は大変感動し、大変な日本びいきになり、そのおかげで、5年後の日露戦争終結(1905年)のときには、ハーバード大学で同窓だった金子堅太郎(初代総理伊藤博文秘書官)から日露講和条約の調停役を頼まれると、「私は貴国のことはよく知らないが、”ブシドー”はよく知っている。あの崇高なる精神を持った国ならば、およばずながら協力したい」と、こころよくその役を引き受けたといわれています。

日露戦争は、あと1ヶ月も戦っていれば日本が負けていただろうというのが歴史の定説だから、いわば新渡戸のこの「武士道」が救ってくれたとも言えなくもないと思います。

武士道は、日本の象徴である桜花と同じように、日本の国土に咲く固有の華である。それはわが国の歴史の標本室に保存されているような古めかしい道徳ではない。いまなお力と美の対象として、私たちの心の中に生きている。たとえ具体的な形はとらなくとも道徳的な薫りをまわりに漂わせ、私たちをいまなお惹きつけ、強い影響下にあることを教えてくれる。

手軽な文庫本です。 http://www.0011.co.jp/company/diary/files/CIMG2344.jpg

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