第8625回

大谷翔平に見る商売繁盛の基本5/8

社会教育家・田中真澄氏が上梓した『大谷翔平に見る商売繁盛の基本』から、これまで4日間で、大谷翔平選手は個人経営者で、早くから100年人生の計画を着実に行動に移している課程をまとめています。著者の田中真澄氏は、日本経済新聞に勤務され、その後その身に付けたスキルを武器に独立し、今では社会教育家として成功している人物です。ある意味サクセスストーリーで、鼻につくところも散見されます。

これからの100年人生で、サラリーマンが65歳で退職した後、100歳までの35年間とは言いませんが、仮に90歳までの25年間をどう生きていくかを問う一冊です。その成功例に大谷翔平選手を起用し、どちらかというと社会教育家・田中真澄氏のような比較的多くいるサラリーマン経験者と、大谷翔平選手のようなアスリートの引退後の人生をかぶせています。要するに、『健康寿命をいかに生きるか』がテーマの一つだと言えると思います。

大谷翔平選手も、高校卒業前後は日米のスカウトからも声がかかるようになり、そうした関係者の情報を受け止めながら、次第に3つの目標、すなわち①アメリカのメジャのトップに行きたい②長く野球を続けたい③他人がしたことのないことをやりたい、ということを心に描くようになったといいます。こうした大きな目標があったことによって、ベーブ・ルース以来100年間も誰もやったことのない二刀流の選手を目指して、誰が何と言おうと頑張り通しているのだと思います。

逆に、あれもチョボチョボ、これもチョボチョボと何事も中途半端に終わってしまう人は、折角の貴重な時間を有効活用出来ないままに終わるのです。私(田中真澄)がサラリーマンの時、帰途につき自宅近くの最寄り駅に着いても、そのまま家に直行せず、駅前の飲み屋に立ち寄って帰る人が結構いたのを目にしたものです。「どうして彼らはあんな行動に出るのだろう」と不思議に思ったモノです。

それは人生を中途半端に生きる人たちの姿であったのだと、今は理解出来るのですが、もったいない話です。ここで繁盛レストランの例を取り入れ、『年中無休・終身現役・オンリーワンの存在価値を活かす』を実行している熊本の『花の木』を紹介しています。バブル景気後の不況期も、熊本地震の後も、コロナ禍の最中も、一貫して年中無休の経営をしています。ご夫妻は大きな組織に頼るわけでもなく、繁華街という地理的条件に恵まれているわけでもなく、唯々、お客様のために誠心誠意、早朝から夜まで50年間頑張ってこられました。そのことを世間の皆様はちゃんと見ておられ、静かにお店を支持してこられたのです。

弱者が強者の間で生き抜いて行くには、どうあらねばならぬかを、教えて貰ったような気がします。私自身も大組織で働いていた身分を捨てて、独立に賭けた人間ですから、弱者の一人です。大組織を離れた人間は、組織の庇護を受けることができませんが、お客様のご支持を受けることは可能です。

88歳になった私は、時折、独立した頃のことを思い出すことがあります。すべて顧客志向に徹し、私情を抑えて、『おれがおれがの我を抑え、おかげおかげの下で生きよ』。明日の小欄は、6回目『ことばの有効活用』について紹介します。

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