不動産屋の苦悩
公的機関からの紹介で、高松市太田上町の中古住宅の売却依頼を受けました。木造2階建て瓦葺き6DK57㎡、築60年勿論旧耐震基準でトイレがくみとり。高松市で調査した結果、建築基準法の接道要件を満たさず再築(新築)は出来ない。所有者は、長く賃貸にしていたモノで、いくらでも良いから処分がしたいとの希望でありました。
不動産価格100万円として、指定流通機構や民間流通機関に有料登録しながら買客を探すが、定価格のため内見者は多い。トイレがくみ取りであることを告げると、ほとんどの内見希望者はその段階で止まり、実際見る客はほとんどいない。しかし本日、それでも見たいという外国人が来た。職場の日本人が間に入って日時等の調整をしてくれる。日本人同席ならと、内見を承諾した。本人からもメールが届いた。
前日、以前入手していた『公共下水道台帳』を見直して、慌てて再度確認に下水道課へ行った。日本人なら『契約不適合責任』回避の『容認事項』を入れて説明すればよろしいかと思っていたのだが、相手が日本の法律を理解出来ず、リフォーム代金を工務店へ支払えば自分の希望する状態になると恐らく信じている。朝8時現場へ来たこの25歳のアメリカ人女性には、「この物件はやめておき」と勿論通訳を介して伝えた。
この物件に関しては、同業者後輩として忸怩たる思いがありました。コトデン駅近で、利便性に優れた住宅ですが、都市計画法が施行される前に建築されたモノで、今の厳しい法律に合致しないところがありますが、せめて進入道路くらいは緊急避難が出来る程度の幅員を確保していて欲しかった。現在は幅員4M幅がなければ、建物は建築出来ません。
この建築基準法の施行日は昔に遡り1950年(昭和25年)11月23日で、この日から、建築物の敷地は原則として「幅員4m以上の道路に2m以上接していること」が求められるようになりました。戦後のどさくさ建築は、5年で終わったはずです。時が流れて都市計画法の施行が1968年(昭和43年)、都市計画区域の指定が可能になり、建築基準法の接道要件がこれらの区域に適用されるようになりました。
この住宅の建築が昭和40年築ですから、43年法改正は巷で言われ、業界では「厳しくなる」と噂されていたと思います。正義が先か己の稼ぎが先か、同時並行であればこのような可哀想な現場は出来ていません。解体するにもトラックが入らず、500万円くらいの解体費見積が出るでしょう。どうしたモノか、不動産屋は悩んでいます。