国土交通省がやっているIT重説実験の途中経過
住宅新報2015年12月15日号によれば国土交通省はこのほど、8月末から実施している「ITを活用した重要事項説明(以下、IT重説)に係る社会実験」の進ちょく状況をまとめた。11月末の、3ヶ月経過時点での実施件数は約50件。そのすべてが、賃貸取引だった。
宅地建物取引業法の規定では、売買契約および賃貸借契約をする前に、宅地建物取引士をして「重要事項説明」をさせて、重要事項説明書を交付するように、宅建事業者に求めています。
もちろんこれに違反すれば、宅建事業者に罰則規定があり、宅建士(宅地建物取引士)にもその際に、宅地建物取引士証の提示を求めこれに違反すると、宅建士に10万円以下の過料が処されます。国土交通省はこのあたりのやりとりを、重要視しています。
これら法律の規定は、明らかに面前の顧客に対して宅地建物取引士証を提示し、重要事項の説明を行い、これを交付しなければならないと規定されています。しかし「IT重説」にあっては、これの真逆の行為をやろうとしているわけです。
背景には賃貸借契約の際に、会社契約の場合では特に、契約前に重要事項説明を入居者本人にすることが出来かねている現状があります。窓口総務担当者に説明したり、郵送後に電話で説明したり、四苦八苦しているのが現場の状況です。転勤してくる人に、事前に来いとも言えないのです。
転勤族は、特に金融関係者の場合には、辞令から転勤までの時間が非常に短いのです。物件検索は今の時代、インターネットから簡単にどこにいても出来ますから、事前に候補物件を選んでいたら現地に来て確認作業だけで終わります。通常は、このタイミングで重説をします。
しかし一部には、現地に来ることなく物件を決めざるを得ない人もいます。ここから「IT重説」の要望が出てきたわけです。特に賃貸管理業にあっては、入居後の管理ですから、入居前に十分な重説をしていることが求められます。「聞いていない」と言われるのが、一番困ります。トラブルになる大きな原因です。
今後の予定として16年2~3月頃に「IT重説に係る検討会」を開催して検証すると共に、個人間売買取引への導入の可否についても検討する方向です。売買仲介でも、物件を見ずに買うことも出はじめていますが、数は知れています。せめて賃貸借契約は、「IT重説」も可となれば現実的だと思います。
政府は2013年、「デジタル社会を前提とした改革の実行」を盛り込んだ「世界最先端IT国家創造宣言」を閣議決定しています。宅建業界のみならず、色々なところで「IT重説」のように重要な説明にも「IT」が使われるようになると思います。「IT」を使えない人が損をするのか、はたまた…