経済産業大臣指定伝統的工芸品雄勝硯

雄勝町(おがつちょう)は、東日本大震災の被災地として有名になったと私は考えていましたが、雄勝硯(おがつすずり)も有名ブランドとして知られ、2011年3月11日14時46分に発生し未曾有の被害をもたらした「東日本大震災」で幾度か押し寄せた大津波に被災し、荒波にもまれながら耐えて、瓦礫と共に懐中に引き込まれずに済んだ、数少ない生き残りの宝物として存在していますが、600年の歴史を持つと聞いて驚いています。
応永3(1396)年の「建網瀬祭初穂料(たてあみせまつりはつほりょう)」の中に「ヲカチノスズリハマ」、現在の採掘山「硯浜」の名が出てきます。これを信じる限り、南北朝統一の後の室町時代には硯が生産されていたことになります。するとその歴史は600年、間違いないと言うことになります。
中国に硯の名品として、端渓石(たんけいせき)や羅紋石(らもんせき)が言われていますが、私も中国から何度か硯を持ち帰ろうとしましたが、企てが成功することはありませんでした。何となくありがたみが薄そうでやめましたが、雄勝硯のような被災地を目の当たりにして、その中に生き残ったこの一品を持ち帰ったのは、私にとって何よりの土産になりました。
誤解のないように申し添えますが、私に書道の心得は全くありません。年のせいか、安倍第二次内閣の閣議室に置かれていた木製文箱を見た時も、ああ毛筆って良いなあと漠然と改めて思った程度でした。
商品説明書から読み解くと、硯にとって最も大切なものは「鋒鋩(ほうぼう)」だそうです。これは石中に含まれる石英や銅、鉄などで、墨をする際に歯の役割をします。いわば大根おろしの歯のようなものですが、これがあまり荒く出すぎていると墨のおりが早い代わりに、どろっとした墨汁になり、反対に細すぎると墨のおりが鈍くなります。
雄勝硯の特徴は、この鋒鋩の荒さ、細さ、さらに硬さ、柔らかさのほど合いがよく、色彩は黒色もしくは黒藍色で、光沢が豊かで石肌がなめらかで硯の一級品と言われています。
肝心の墨ですが、恩師の萬木淳一先生にお伺いすると市内番町五丁目中野天満宮1階の摩巍堂で買い求めよと言われるので、早速行って求めて参りました。母親の七日参りの「御布施 松野」から使ってみます。