第5202回

大手設計コンサルタントから学ぶ有効活用と街づくりの最新事情

公益財団法人不働産流通推進センターが主管する、「不動産有効活用専門士」の特別勉強会が9月28日東京渋谷の渋谷カンファレンスセンターで開催された。第1部は「大日本印刷市谷工場計画」を、担当された㈱久米設計の倉田充氏と上田克彦氏の両部長から詳細な説明を受けた。

約14.2ヘクタール(約4.3万坪)の広大な土地に、東京都と都市計画・地区計画変更まで相談し、綿密な計画で平成20年から取り組んで、8年経過した今も工事が継続中で一部使用を始めているスケールの大きいプロジェクト。業務を止めることなく、順次解体新築を続けている。

計画では、大規模工場の機能更新に伴う土地の高度利用に合わせて、道路の整備や周辺住環境と調和した緑豊かなオープンスペースの確保を進め、良好な市街地環境を形成することを目標に掲げています。

流石東京での、大規模開発案件です。直接のクライアントは日本一の印刷会社と言われている「大日本印刷」ですが、周辺に「市谷の杜」を創り、周辺住民が利用できる地域開放型スポーツ施設までも作るという計画です。

キーワードは、ずばり高層化と地下利用。新宿区の高度制限は30㍍であったのを、総合計画の中に落とし込み高さ制限120㍍まで持ち上げて、建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合。建築面積率)は40%に引き下げている。

専門的な話で難解なところもあるのですが、敷地全体の地下に工場を作り、その上に断熱材を敷いて水の通路も確保しさらに1.5㍍の土で覆い、そこに植樹をしています。目に見える地上部分では、4割が建物で6割が緑地などになって森の中に高層建物が建っています。

第2部は、「渋谷駅周辺地区再開発の全貌を知る・見る・触れる」という座学と現場見学。㈱東急設計コンサルタント大場雅仁本部副部長の「世界都市・渋谷の百年の計とヒカリエ開発」講演から始まり、「渋谷駅街区土地区画整理事業」の説明を聞いて、渋谷駅街区工事現場へ入ります。

地方都市に生活していると、豊洲問題が奇異に感じるが、時を一にした22㍍地下の見学は、豊洲市場の地下に入った気がする。コンクリートに触れても見たが、丁寧な打設がされていて完成後はほとんど人の目に触れることがない場所の施工も精度は高い。

また大都会の区画整理事業が、こんなに減歩率が少ないのかと驚愕した。敷地整序型土地区画整理事業が施行されている渋谷二丁目21地区の減歩率は、0.24%に納まっている。

高松での太田第二地区区画整理事業は、20~30%が普通の減歩率。道路や公園などの設置が義務づけられる区画整理事業だが、ここ渋谷では違う社会貢献で容積率を2床分稼いでいる。ここは高層化が一つの特徴です。

始まりは、平成17年渋谷駅周辺都市再生緊急整備地域の指定にある。渋谷を東京の顔にする計画で、まず平成24年に敷地面積約9,640㎡(約3千坪)、延床面積約144,000㎡(4.4万坪)の渋谷ヒカリエが完成した。高さ約182mで、容積率1370%、通常感覚の2倍の容積率(建物の延べ面積の敷地面積に対する割合)になっている。

日本初の都市再生特別地区と敷地整序型区画整理で完成した渋谷ヒカリエは、この公共貢献による割増容積率のために、その8階は文化施設として提供されている。事業計画に社会貢献を入れて、ご褒美を頂いている大都会の事例を眼下にした。

特に渋谷にあっては、事業主体が渋谷川まで移設をして、ゲリラ豪雨のための地下プールを備えている。このプールは完成後、東京都下水局へ寄付をする。ここでは都庁職員も、民間とともに日本初に燃えて良くなる工夫に貢献している。

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